リカバリーウェアとは|仕組みや選び方についてもご紹介

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リカバリーウェア

整形外科・スポーツ専門医

監修医師プロフィール

天理大学 准教授 スポーツ医・救急医・整形外科

眞鍋憲正 医師

信州大学医学部卒業。同学大学院、疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座博士課程修了。市内病院での臨床や米テキサス州の病院・大学での客員研究員を経て現在は天理大学体育学部 准教授。専門研究分野はスポーツ医学・運動生理学。

最近、リカバリーウェアと呼ばれる衣服をよく目にするようになりました。リカバリーウェアについて、厚生労働省が認めた一般医療機器と認可を受けていない衣類(類似品)の違いについて紹介します。

リカバリーウェアとは?

 リカバリーウェアという用語自体には明確な定義はありませんが、該当する製品が厚生労働省に認定されている一般医療機器「家庭用遠赤外線血行促進用衣」に当てはまる場合があります。

 これらは遠赤外線を輻射し血行を促進や疲労回復などの効果が期待される機能を有すことが認められています。一般医療機器としてのリカバリーウェアはPMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)に届出を行ったウェアを指しますが、届出がなくてもリカバリーウェアと表記すること自体はできます。

一般医療機器「家庭用遠赤外線血行促進用衣」とは?

 2022年12月に新設された一般医療機器の名称になります。また、2024年3月に業界側が設定した基準として一般社団法人日本医療機器工業会から自主基準も整備されています。

 厚生労働省による定義は以下の通りです。

“遠赤外線の血行促進作業により、疲労や筋肉のこり等の症状の改善を目的とした衣類形状の器具。上半身用および下半身用があり、それぞれ少なくとも上腕部および大腿(だいたい)部を被覆。ただし、パーツ形状は含まないものとする”

血行促進の機能を有した、長袖・半袖シャツ・長ズボン・半ズボンが対象となります。

一般医療機器に当たらない物

 一般医療機器として届出が無いものを指します。リラックス効果・快適・着心地が良いなど、一般的な生活快適性をうたうだけのものが多いです。一般医療機器として届出をしていても血行促進機能が衣服の一部にしか無い場合などは一般医療機器として認められず、通常の衣類と同等表記となります。

リカバリーウェア(一般医療機器)の仕組み

 リカバリーウェアは鉱物を生地に入れ遠赤外線を輻射する機能を持っています。人間の場合は肌から約9㎛の遠赤外線を放出し、体温を36℃前後に保っています。この肌から放出される遠赤外線をリカバリーウェアが輻射(ふくしゃ)し肌に戻す仕組みです。その結果、体温が上昇し血行促進に繋がる効果が期待されます。

リカバリーウェア(一般医療機器)の効果

 遠赤外線の輻射により下記のような効果が期待されることが認められています。

●血行促進
●疲労回復
●筋肉のコリ、ハリの緩和
●筋肉疲労の軽減

リカバリーウェア(一般医療機器)の効果として不適切なもの

 中には下記のような厚生労働省の認める効果から逸脱していると指摘された効果の例を紹介します。このような効果をうたう製品は科学的根拠を伴っておらず注意が必要です。

●疾病の治療、予防
●腰痛、関節痛、炎症などの改善
●神経痛、筋肉痛の緩和
●疲労物質の蓄積抑制
●冷え性の体質改善、変化
●平熱の上昇
●免疫機能の向上
●新陳代謝の促進
●細胞の活性化
●むくみの改善
●生理痛の改善

リカバリーウェアの選び方

 血行促進、疲労回復といった機能性で選ぶ場合は、科学的根拠を伴うと認められた一般医療機器として届出されている商品から選ぶ事がお薦めです。その中でもさらに機能性を比較する際に重要なポイントがあります。

臨床試験結果【血流増加率】を見る

 一般医療機器「家庭用遠赤外線血行促進用衣」として届出を行う際には、厚生労働省より未加工の素材と比較し120分の着用で5%以上血流量が増加したというデータを提出する必要があります。この血流増加量がより短時間で、より高い臨床試験結果を伴う製品の方が高機能であると言えます。

臨床試験結果【赤外線分光放射率】を見る

 赤外線分光放射率とは、リカバリーウェアの素材が遠赤外線を吸収し輻射する度合いを示す値です。一般医療機器として届出するには赤外線分光放射率が60%以上である必要があります。この数値が高い方が高いほど体熱を吸収して再放射する能力が高いため、理論的には血行促進機能が高まることが期待されますが、他の要因にも左右されることに注意が必要です。

リカバリーウェアで血行促進、疲労回復を目指すなら

 スポーツ後の回復や日常生活の血行促進などを目指す場合は、一般医療機器「家庭用遠赤外線血行促進用衣」として届出されたリカバリーウェアを選び、その中でも機能性で選ぶ場合は血流増加率・赤外線分光放射率が高いウェアを選ぶことで効果が期待できます。リカバリーウェアの使用に関して特に年齢制限もないため、子供からお年寄りまで幅広く利用できます。

リカバリーウェアの様々な名称

 下記のように、一般医療機器「家庭用遠赤外線血行促進用衣」として届出されたリカバリーウェアの中でも製品によって異なる呼び方になります。

●スリープテックウェア
●ブレインスリープウェア
●ボディメンテナンスウェア
●疲労回復ウェア

監修医師からのコメント

 リカバリーウェアは鉱物を繊維に組み込み、体表から放射される遠赤外線を吸収・再放射して局所温度上昇と、それによって血流改善を促すことを狙った製品です。現在は様々なメーカーが多種多様な商品を出しています。ひとつの選択基準は、記事にあるような一般医療機器として届出された商品を選ぶことです。それらは血流増加率や赤外線分光放射率の科学的試験データが伴っており、効果が期待できるといえます。しかし、当然ながら効果はこうした数字だけで決まるわけではないので、フィット感や着用時間、個人差も重要な選ぶ基準となってくると思います。

監修医師プロフィール

天理大学 准教授 スポーツ医・救急医・整形外科

眞鍋憲正 医師

信州大学医学部卒業。同学大学院、疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座博士課程修了。市内病院での臨床や米テキサス州の病院・大学での客員研究員を経て現在は天理大学体育学部 准教授。専門研究分野はスポーツ医学・運動生理学。

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