妊婦の血行促進|産後ケアを重視する妊婦のための健康サポート
冷えについて
妊娠
産婦人科

監修医師プロフィール

産婦人科専門医 久保田産婦人科病院(産科・婦人科)
西野枝里菜 医師
東京大学理学部生物学科卒、東京大学薬学部薬科学専攻修士課程卒。名古屋大学医学部医学科卒後に研修を経て久保田産婦人科病院にて勤務。
普段は冷えにくい女性の方でも妊娠中は体が冷えやすくなります。その為、霜焼けやあかぎれになりやすく、足がよくつったり・便秘・むくみなどの諸症状から、切迫流産・切迫早産など重篤な症状まで発展する可能性もあります。妊娠中の血行促進から、産後ケアまでご紹介します。
妊娠中は何故体が冷えやすいのか?

日頃冷えにくい女性でも妊娠中は体冷えることが多くなります。何故妊娠すると体が冷えやすくなるのかを解説します。
妊娠による体型変化
妊娠中は子宮が大きくなり圧迫されることで、通常より血液の流れが悪く血行不良になり冷えに繋がります。また、胎児が成長するにつれお腹が膨らみ、徐々に正しい姿勢が難しくなり肩こりなど体が固くなることで血液の流れが悪くなり冷えることにも繋がります。
ホルモンバランスの変化
通常、人は交感神経と副交感神経が交互に切り替わえホルモンバランスを調節しています。妊娠初期から黄体ホルモン(プロゲステロン)が増加し、妊娠前とは異なるホルモンバランスとなります。このプロゲステロンは血管拡張作用があり、体温の上昇につながりますが反面新陳代謝が減少する作用もあり、手先足先など末端が冷える傾向にあります。
運動量の低下
妊娠中はつわりなど体調不良により運動量が減少し筋肉量が減少してしまいます。筋肉には熱を生み出す作用もある為、運動量の低下から筋肉量の減少による全体的な冷えに繋がります。
妊婦の冷えによる危険性

妊娠中の冷えは通常の不快感に加え、母体と胎児の健康に影響を及ぼす可能性があるため、妊娠前より注意が必要です。
免疫力の低下
妊娠中は免疫力が低下しますが、冷えにより体の代謝が落ちるとさらに免疫力が低下します。冷えを放置すると風邪や感染症にかかりやすくなり、体も固くなり便秘・むくみにもつながってしまいます。
早産・流産の可能性
冷えによる血行不良は子宮や胎盤への血流不足に繋がります。これにより胎児へ十分な栄養・酸素が行き届かず早産・流産の可能性に繋がります。特に妊娠初期には注意が必要です。
妊娠中の冷え対策

妊娠中の冷えは、体調不良や胎児への影響につながることがあるため、無理のない範囲で日常的に血行を良くする冷え対策を行うことが大切です。
妊娠中の軽い運動
血行不良を解消するには運動し筋肉を動かすことが効果的です。ただし妊娠前後では運動のやり方を変える必要があります。医師から指示がある場合は医師の指示に従ってください。
●ウォーキング
無理のない範囲で歩きましょう。目安として週150分とされていますが、過度な運動は逆効果になります。不安な方は産婦人科にて運動目安を相談しましょう。
●マタニティヨガ
妊娠安定期におすすめです。通常のヨガと異なり、妊婦の無理のない体勢で行うため体をほぐして血行をよくします。ただし、妊娠初期や体調不良の時は避けましょう。
●ストレッチ
通常は体全体を伸ばしますが、妊娠中は特に手先足先が冷えるため、足首や手首を回す・伸ばすストレッチが有効です。
ぬるめの入浴
妊娠中はシャワーで入浴を済ませる方が多くなります。この場合、体がしっかり温まらず血流が改善されません。38℃の少しぬるめの湯船に15分〜20分浸かることで、血行促進・体の固まった筋肉の改善が期待できます。のぼせやすい方は半身浴でも効果があります。
ボディメンテナンスウェアを利用する
妊娠中の運動が辛く、お風呂も入ることができない場合はボディメンテナンスウェアの着用もお薦めです。遠赤外線を放射する素材が使用されていて、着るだけで血行を促進し、疲労を回復したり筋肉のコリを緩和させたりするのを助ける効果が期待できます。着るだけで日々の健康をサポートしてくれるという点が大きな特徴で、手間や時間がかからない手軽さがあります。また、産後ケアとして出産後も引き続き着用することで血行改善が続きます。
産後ケアを重視する妊婦さんは出産後も血行改善が重要
産後ケアは、出産で大きく変化した心身の回復と育児へのスムーズな適応を助けるためにとても大切です。無理をせず、自分を労わる時間を意識的に持つことが、赤ちゃんと向き合う力にもつながります。特に、妊娠中に変化した骨盤・子宮は体調が戻るまで1ヶ月ほどかかります。出産時の出血などで体力も消耗している為、過度な運動もしばらくは控えてください。出産後も軽い運動・ぬるめの入浴・ボディメンテナンスウェアの着用は引き続き血行改善に効果的です。血行が改善すると、産後ケアもスムーズに進みます。
監修医師からのコメント

妊娠中に冷えを改善しておくと、妊娠中のみならず出産や産後のトラブルの予防にも役立ちます。適度な運動や入浴など、すこしだけ生活環境を変えるだけでも冷え性の改善に役立ちます。ぜひ今日から体を温める生活を意識してみてください。
監修医師プロフィール

産婦人科専門医 久保田産婦人科病院(産科・婦人科)
西野枝里菜 医師
東京大学理学部生物学科卒、東京大学薬学部薬科学専攻修士課程卒。名古屋大学医学部医学科卒後に研修を経て久保田産婦人科病院にて勤務。